1. フィードバックやアドバイスの出し方
集中とタイミング
パターンを観察してからフィードバック(アドバイス)する:
コーチは、選手の動きに明確なパターンが現れるまで、修正のフィードバックを急いではいけません。良い傾向であれ、繰り返し起きているミスであれ、パターンを確認してから指摘することで、意味のある修正につながります。単発のミスに対して早急に修正を行うと、かえって選手の動きを乱し、上達の妨げになることがあります。
例:もし選手が、フットワークとバックスイングの問題によって常にディンクを高く上げてしまうなら、これらの点を改善すべきという判断ができます。しかし、一度だけ起こったイレギュラーなバウンドによるミスを、あたかも恒常的な問題であるかのように修正する必要はありません。
修正の焦点は一つに絞る:
フィードバックは、一度に一つの修正点に絞ることが重要です。特に初心者にとって、多くのポイントを同時に指摘されると集中が分散し、上達が遅れてしまいます。コーチは最も重要な課題を一つだけ選び、明確に伝え、成果を確認してから次の修正点を提示します。
例:「まずは、ディンクの打点でパドル面をもう少し上向きにすることに集中しましょう。それが改善してきたら、次にスタンス(構え)の修正に進みます。」
一つの焦点に絞ることで、選手は負担を感じず着実に改善できます。
練習の合間を活用してフィードバックする:
給水時間やドリルの切り替えなど、自然な休憩のタイミングを使うと、選手は落ち着いてフィードバックを受け取れます。これにより、プレー中の流れを邪魔することなく、アドバイスの内容を理解しやすくなります。
目的に沿ったフィードバック
フィードバックをセッションの目的に結びつける:
フィードバックは、その日のレッスンの目的と一致していなければなりません。ドリル中の修正点も、事前に伝えたテーマに沿った内容にすることで、選手が集中すべきポイントを明確にできます。
例:その日のテーマが「サードショットドライブ」であれば、修正ポイントもサードショットドライブに関連した内容に留めるべきで、他のショットへの矯正を広げすぎない方が良いのです。目的に沿ったフィードバックは、選手の集中力を維持し、混乱を避けます。
上達を妨げている原因を特定する:
コーチは、選手が上達できない原因となっている“核心的な問題”を見つけ、それを優先的に修正します。影響度の大きい問題を先に改善することで、選手の上達スピードが大きく高まります。
例:もし選手のリターンが短くなってしまう原因が、体重移動の不十分さにあり、その結果として何度もポイントを失っているのであれば、コーチはまずリターン(相手のサーブへの返球)の改善に集中すべきです。リターンが短くなる根本的な原因を見つけて修正することを、他のショットやそれに関連する細かな問題よりも優先して行う必要があります。
選手の上達を妨げている要因を特定し、適切に修正していくことで、明確な課題に直接取り組むことができ、選手はより早く上達することができます。
実演・言語化・目的の再提示を組み合わせて、実行に移しやすいアドバイスを伝える:
フィードバックを明確で具体的、かつ実行に移しやすいものにするためには、言葉での説明と実演を組み合わせて、どのように修正すべきかをより分かりやすくすることが重要です。また、必要に応じてレッスン全体の目的を改めて伝えることで、修正の意図を強めることができます。
例:
ー言葉で伝えるー
「このボレーディンクでは、高さをコントロールするためにパドル面を少し上向きに保ちましょう。ここで私がパドルの角度をどのように作っているか見てください。これは、これまで練習してきた“余裕のある軌道”と“安定性”を保つために最も重要なポイントの一つです。」
ー実演ー
正しいパドル角度を実際に見せ、その後、選手に動きをまねてもらい修正点を体で理解してもらう。
明確で実行しやすい指示を実演と組み合わせ、さらにレッスンの目的と関連づけることで、フィードバックの焦点がぶれず、曖昧さのない指導となります。