21. サーブの基本
目的:
サーブの目的は、ルールに沿った正しいフォームで安定してサーブを入れ、深さやコースなどの要素を活かして、サーブ側がラリーを有利に進められる可能性を高めることです。サーブ側は、返球を必ずバウンドさせてから打たなければならないため、返球側が先に前進してポジションを取れるという構造的な不利があります。そのため、意図のあるサーブを打ち、サーブ側がラリーで主導権を握れるようにすることが特に重要です。
サーブのルールと正しいフォームの習得
初心者にサーブを指導する際は、まずサーブに関するルールを正確かつ丁寧に説明することが第一歩になります。次のルールを明確に伝える必要があります。
・スイングは必ず下→上で振ること
・打点は腰より下であること
・打つ瞬間、パドルヘッドは手首より下に位置していること
・打つ瞬間、片足以上は地面についていること
・サーブを打つ側のセンターラインとサイドラインの内側に両足を位置させること
安定性(コンシステンシー)
初心者のサーブ指導では、正しいフォームを理解した後、まずはサーブを安定して正しいサービスボックスに入れることが最重要の目標となります。
・安定性を高めるためのポイント:
- ターゲットゾーンを広く取る:
安定性に苦労している初心者には、サービスボックスの中央を狙わせるとミスを減らす効果があります。 - ネット上の高さに余裕を持たせる:
サーブに少し高さをつけることで、ネットにかけたりキッチンに短く落としてしまうリスクを減らせ、深さも安定しやすくなります。 - 毎回同じ位置から打つ:
サーブの位置をベースライン上で毎回同じ場所にすると、サービスボックスに対する角度が一定になり、狙いが安定しやすくなります。
優先事項と最低限の習得レベルの引き上げ
サーブは、選手が唯一100%コントロールできるショットであり、ラリーを開始する責任を持つストロークです。そのため、最優先事項は「安定してラリーを開始できるようにすること」です。
ラリーが続くことで、選手はポジション取りやショット選択などの重要な基礎を素早く学ぶ機会を得られます。そのため、コーチは選手が安定して合法的なサーブを入れられる“最低限の習得レベル”に到達できるようサポートする必要があります。
・初心者が最初に達成すべき2つの優先目標:
- サーブに関するすべてのルールを理解し、合法的なフォームで実行すること
- 安定してサーブを枠内に入れること
この2つを達成することで、初心者がサーブをアウトしたりミスを連発することから生じる、フラストレーションや落胆を避けられます。
サーブは見た目以上に簡単で、基本レベルのサーブであっても、身体的・精神的な不安から苦戦する選手もいます。そのため、コーチは他のストローク以上に、サーブのよくあるミスに敏感になり、適切に修正してあげることが重要です。
選手が安定して合法的なサーブを打てるようになったら、次の段階として、深さ・方向・球威・スピンなどの付加価値を伸ばしていく指導に移ることができます。初期段階で安定性を早く身につけた選手の場合、この修正段階を飛ばすことも可能です。
深さ
サーブでまず身につけたい戦略的な目標の一つが「深さを出すこと」です。サービスボックスの奥にサーブを打ち込むことで、返球側の有利を小さくすることができます。その理由は次のとおりです。
・リターナーがキッチンラインへ前進するまでの距離が長くなり、強いポジションへ入りにくくなる
・ミスショットや弱い返球が出やすくなる
・リターナーが前目のバランスの良い位置から攻撃的に返球することを防げる
サーブ後の立ち位置
サーブを打った後の立ち位置を正しく取ることで、サーブ側は次のショットをより効果的に処理しやすくなります。
・サーブ後に意識すべきポイント:
- サーブしたらその場に留まる(Serve and Stay):
サーブ直後は、返球がどこに来るか判断できるまでベースラインの後ろに留まります。深い返球が来た場合に、前に入りすぎてポジションを崩すことを防ぐためです。 - 返球が見えたら素早くポジションを改善する:
返球の軌道がわかったら、できるだけ早く前へ進み、キッチンラインを目指せる位置に動きます。 - パートナーとのコミュニケーション:
返球がコート中央に来た場合、どちらが取るか口頭で確認し、迷いや二重反応を避ける必要があります。この連携は、サーブ前に確認しておくことも、ラリー中に声かけすることもできます。
方向(ディレクション)
サーブは狙いを持って打つことで、リターナーの選択肢を制限し、ラリーの序盤から主導権を握るチャンスを生み出せます。
・狙いとして使える方向の種類:
- ボックス中央:
最も安定しやすく、ミスを最小限に抑えられます。 - ワイドサーブ:
相手をコートの外へ引き出し、次のショットで角度を広く使えるようになります。 - ボディサーブ:
相手の体めがけて打ち、体をさばかせる必要を生じさせることで、効果的な返球を難しくします。 - Tサーブ(センターライン狙い):
ワイドサーブと対になる選択肢として使うことで、相手に守備範囲の広い予測しづらい状況を作れます。 - 相手の弱点側:
相手がフォア・バックのどちらを苦手としているか見極め、その弱い方へサーブを送ることで優位を取れます。
グリップ
初心者には、安定性が高くニュートラルなグリップが推奨されます。
・グリップのポイント:
- ニュートラルグリップ:
コンチネンタルグリップやイースタングリップを推奨します。これらはさまざまな種類のサーブに対応しやすく、微調整もしやすいグリップです。 - グリップ変更を避ける:
初心者はグリップを頻繁に変えず、一定の握りでサーブを続けることで安定性が高まります。
握る強さ:
リラックスしながらも安定した握りを習得させることが大切です。力みすぎると動きが硬くなり、弱すぎると安定しなくなるため、適度な握りによりスムーズで安定したサーブになります。