6. ケガの予防
ピックルボールでは、さまざまな種類のケガが発生する可能性があります。以下では、特によく見られる3つのケガと、それぞれのリスクを減らすための基本的な予防策について説明します。
1. テニスエルボー(テニス肘/ 正式名称:上腕骨外側上顆炎)
テニスエルボーはピックルボールにおいてもよく見られるケガで、肘の外側に痛みや炎症が生じるのが特徴です。これは、パドルを握り続ける動作やスイング動作を繰り返すことで腱に負担がかかることが原因で起こります。近年の研究では、スポーツの特性上の反復動作や強度の高さから、ピックルボールプレーヤーにおけるテニスエルボーの増加が報告されています。予防策としては次のようなものがあります。
・休息
継続的にプレーし続けると使いすぎによる過剰な負担につながるため、定期的に休憩を取ることが重要です。多くのプレーヤーは毎日のようにプレーすることを楽しみますが、普段から運動量が少ない人ほど負荷が蓄積しやすく、ケガにつながります。身体を回復させるためにも、適度に休むよう促してください。
・グリップを強く握りすぎないようにする
パドルを強く握りすぎると肘に余計な負担がかかります。プレーヤーにはリラックスした握りを意識してもらい、ラリーの合間にはパドルを利き手ではないほうに持ち替えるよう促すことで、利き手の負担を減らすことができます。
・より軽いパドルを使用する
重すぎるパドルを使っていると疲れやすく、フォームが崩れてケガのリスクが高まります。重めのパドルを好む人もいますが、コントロールに苦労している様子が見られたり、不快感がある場合は、より軽量のパドルを試すよう提案してください。
・パワーが出しやすいパドルに変更する
強いショットを打とうとしてスイングに過度な力を入れると、肘の痛みが悪化します。パワーを出しやすいパドルを使用することで、無理に力を入れずにすみ、過度の負担を減らすことができます。
・肘用サポーター(ブレース)の利用
肘用サポーターや圧迫バンドは、振動を軽減し安定性を高めるのに役立つ場合があります。ただし個人差があるため、必要に応じて使用を勧めてください。
・外用の鎮痛クリーム
CBD を含むものを含め、外用クリームは炎症や痛みの緩和に役立つことがあります。患部に直接働きかけるため、局所的なケアとして有効です。
・身体の使い方を改善する
正しい身体の使い方でスイングすることで肘への負担を減らせます。前腕や手首だけに頼らず、下半身や体幹といった大きな筋肉を使うよう指導することが重要です。
2. アキレス腱断裂
アキレス腱のケガはピックルボールでよく見られます。特に、急な動き出しや、不十分な準備運動の後に起きやすいケガです。ピックルボールは素早いスタートやストップが多く、アキレス腱に大きな負荷がかかるため断裂のリスクが高まります。研究でも、ピックルボールプレーヤーのアキレス腱損傷が増加傾向にあることが示されています。予防策としては次のようなものがあります。
・十分な準備運動
セッション前には動的(ダイナミック)ストレッチや可動域を広げる運動など、念入りなウォームアップを行うよう促してください。筋肉や腱をプレーに備えた状態に整えることができます。
・筋力強化
ふくらはぎ、ハムストリングス(太もも裏の筋肉)、足首周囲の筋肉を強化することで、アキレス腱への負担が軽減されます。
・コンディショニング
全身の体力や身体の状態を整えておくことは、疲労によるフォームの乱れや負荷の増大を防ぎ、腱のケガのリスクを減らします。
3. 関節痛
膝、股関節、肩などの関節痛は、ピックルボールでは非常によく見られます。繰り返しの動作や素早い方向転換によって関節に負担がかかり、炎症や過度な負荷につながるためです。研究ではピックルボールプレーヤーの関節痛増加が指摘されています。リスクを最小限にするためには次のような対策が有効です。
・適切な準備運動
プレー前に動的な運動(ダイナミック・ムーブメント)を行い、筋肉や関節を動きに備えた状態にしておくよう促してください。
・技術の改善
適切なフォームは関節への負担を減らし、不適切な動作によるケガを防ぎます。動作パターンや身体の使い方を整えるよう指導してください。
・筋力トレーニング
特に脚や肩など重要な関節を支える筋肉を鍛えることで、負担が減り、関節の安定性が向上します。
・プレー後のストレッチ
プレー後のストレッチは柔軟性を維持し、筋肉の回復を促すために不可欠です。プレーで使用した主な筋群を中心にストレッチを行い、こわばりを防ぎ、ケガのリスクを下げることができます。
・休息と回復
プレーヤーには身体の声を聞き、必要に応じて休息を取るよう促してください。繰り返しの負荷から関節を回復させることが重要です。